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計画プロセスのポイント―― 2

第5回 プロジェクト経験とのギャップを踏まえてPMBOKを勉強する(その3)


前回に引き続いて、「計画プロセスのポイント―2」として、「予算の設定」「品質マネジメント」「要員マネジメントとコミュニケーション計画」について解説します。  

[4]予算の設定

 プロジェクト予算の設定には、2つの予備費について考えておかなければなりません。それは、コンティンジェンシ予備とマネジメント予備です。

 ・コンティンジェンシ予備:発生することが予測できる既知のリスクに対する予備費で、コストパフォーマンス・ベースラインに組み込まれ、EVMの対象になります。プロジェクトマネージャが、自分の裁量で使用できます。

 ・マネジメント予備:明確に発生すると予測できない未知のリスクに対する予備費で、コストパフォーマンス・ベースラインには組み込まれず、EVMの対象になりません。プロジェクトマネージャは、自らの裁量でこの予備費を使うことができません。

[5]品質マネジメント

 (1) 品質マネジメントには、品質標準を中心にして、次の3つのプロセスがあります。
 ●品質計画
品質標準を特定し、品質尺度を決めるとともに、品質マネジメント計画書を作成する。
●品質保証
品質マネジメント活動が、体系的、計画的に実施されているか否かを監査する。
●品質管理
出来上がった要素成果物が、品質標準をクリアしているか否かを、ツールを使用して評価し、クリアしていなければ手直しをする。

※品質管理は、通常、スコープ検証の前に実施するが、並行実施することもあります。品質管理は、要素成果物の正確性に焦点を当て、スコープ検証は、要素成果物の、公式な受け入れに焦点を当てるプロセスです。

 スコープ検証は、品質管理と一緒に勉強しないと、なかなか理解できないといわれています。

 (2)PMBOKは、近代的品質マネジメントのポイントとして、次の点をあげています。
 ●顧客満足:(デュラン)
・要求事項への適合:プロジェクトは、所定のものを生み出さなければならない。
・使用適合性:生み出される製品等は、真のニーズを満足しなければならない。

 ●検査よりも予防:(クロスビー)
近代的品質マネジメントに「品質とは、計画、設計、作り込みによって達成されるものであり、検査によってではない」という理念がある。一般に、欠陥予防の コストは、検査により発見された欠陥を是正するコストより、はるかに少ない。

 ●経営者の責任:(デミング)
成功するために必要な経営資源を提供する責任がある。

 ●継続的改善:
・計画、実行、確認、処置(PDCA)サイクルは、品質改善の基準。
・母体組織の品質改善運動は、成果物の品質と、プロジェクトマネジメントの品質を改善する。
・プロセス改善モデルには、マルコム・ボルドリッジ、OPM3、CMMI等がある。

 ●品質コスト:
品質に関する全ての作業コスト。返品、保証に対するクレーム、リコール対策は、品質の運用コストに影響を与える。品質改善への投資、とくに、欠陥予防と評価への投資は、多くの場合、母体組織が負担する。なぜなら、プロジェクトは、その投資の成果を受取るほど長い期間存在しないため。

プロジェクトのイメージ

次ページへ続く

次のページ
[6]要員マネジメントとコミュニケーション計画

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この記事の著者

青栁 次男(PMP)(アオヤギ ツギオ)

株式会社タリアセンコンサルティング 代表取締役
1966年早稲田大学第一商学部卒業。1967年日本航空入社。システム開発部門にて、旅客予約管理システムをはじめ、整備、運航、一般管理等、システム開発に従事。また、国内初の海外オンラインリアルタイムシステム開発を担当。
1998年タリアセン設立に参画...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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