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デジタルトランスフォーメーションに向けて マルチクラウドでも一貫性あるIT運用を実現するには

 企業が次々にデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現している。DXでアプリケーションをアジャイルに開発し、展開できるようにするにはどのような準備が必要か。デル テクノロジーズでアジア太平洋地域のプリセールスおよびバイス・プレジデントを務めるMatthew Zwolenski氏がデジタル時代におけるクラウドトランスフォーメーションについて解説する。

1つのクラウドではなくマルチクラウドに移行したほうがコスト削減できた?

 日々アジア太平洋地域の各地を奔走しているZwolenski氏は「訪問するたびに、新しいDX事例を目にします」とうれしそうに話す。ある銀行ではモバイルアプリでほとんどのサービスが利用できるようにするデジタル化を成し遂げ、シンガポールやインドでは政府や行政がプラットフォームのデジタル化を進めているという。

デル テクノロジーズ アジア太平洋地域 プリセールス バイス・プレジデント Matthew Zwolenski
デル テクノロジーズ アジア太平洋地域 プリセールス バイス・プレジデント Matthew Zwolenski氏

 昨今では経営視点でも「DX」や「トランスフォーメーション」がキーワードとして登場するようになってきた。あらゆる企業が自社サービスを中断することなく、次世代への転換を実現したいと望んでいる。しかし壁が立ちはだかる。

 Zwolenski氏は「ビジネスから様々な新しい発想が生まれていますが、その一方で、実はITがビジネスニーズに追いついていません」と指摘する。Zwolenskiによると次世代型のデジタル化を完遂した「デジタルリーダー」と呼ばれる企業は全体の6%のみ。残り94%はITのトランスフォーメーションが途上にあるという。

 転換を遂げた企業の一例としてZwolenski氏はオーストリア・コモンウェルス銀行を挙げた。ここではデルテクノロジーズの技術を駆使してマルチクラウド化とデータセンター運用で完全な自動化を実現した。

 他の伝統的な銀行と同じく、これまでは全く新しい発想と技術で金融業に参入するスタートアップ企業を脅威としてとらえていた。しかしIT基盤をトランスフォーメーションすることで、新しい勢力に対抗できる企業へと変貌を遂げた。

 あらためてDXとは何かを考えてみよう。一般的にDXというと、AIやデータ分析を導入した事例を思い浮かべることが多い。しかしZwolenski氏は「我々の考えるDXとはケイパビリティ(能力)そのもの。競争優位のためにデータを活用し、新しいソフトウェアを開発する能力を持つこと」と断言する。

 競争優位を獲得するためにIT基盤をトランスフォーメーションするとなると、まず思い浮かぶのがクラウドへの移行だ。ここでZwolenski氏は興味深い調査結果を示した。

 ある企業ではレガシー環境と仮想化環境でシステムを運用していた。それをあるパブリッククラウドへ完全に移行した場合、アプリのリファクタリングとクラウド運用で運用コストが現状の2倍になるという見積もりが出た。

 ところがマルチクラウド、つまりパブリッククラウドとプライベートクラウドで複数のクラウドのIaaSやPaaSを併用すると、現状よりも運用は40%コストダウンを図れるという予測結果が出たという。もちろん全てのケースにおいて同じ結果が出るとは限らない。

 環境や要件次第ではあるものの、クラウドへの移行といってもパブリッククラウド一択ではないということ、またマルチクラウドでいい結果をもたらす可能性もあるということだ。なかでもアプリをクラウドに合わせてリファクタリングするところで、大きなコスト増加をもたらす可能性があるところは見落としがちなので留意しておきたい。

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アプリケーション、インフラ、ビジネス、全てのチームに恩恵をもたらすインフラとは

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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