既存のvSphereのスキルを生かしてKubernetesを管理できる
具体的なアプリケーションモダナイズのアプローチとしては、既に持ち合わせているvSphereの経験を生かし、その延長線上でコンテナ環境であるKubernetesを利用できる。「『vSphere with Tanzu』は、vSphereの中にKubernetesの環境を取り込んだものです。アプリケーション開発者にとってはネイティブなKubernetes環境として利用でき、インフラ担当者はそれを使い慣れたvCenterのインターフェースから管理できます」と渡辺氏。これを使えばインフラ担当者は、新たにKubernetesの管理手法を習得することなく、開発者にKubernetes環境を迅速かつ安定して提供できるのだ。
VMwareでは、Kubernetesでアプリケーションをデプロイし運用するという一連の手間のかかるプロセスを自動化。渡辺氏は、「開発者がコードを書くことに専念できるように強化しています」と説明する。同社が開催したフラッグシップイベントVMworld 2021でも「VMware Tanzu Application Platform」の機能を拡張したベータ版をリリースすることが発表され、2022年1月13日にバージョン1.0がリリースされている。
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さらに、コンテナについてはKubernetesだけでなく、従来提供しているCloud Foundryベースの「VMware Tanzu Application Service」も引き続き機能を強化しており、自動化を進めアプリケーション開発の生産性を高めている。
このようにVMwareのソリューションでアプリケーション開発者の生産性を高める観点と、インフラ管理者が既存スキルを生かしながらKubernetesを導入しやすくするという二つの観点で、モダナイゼーションに取り組めるようにしている。
加えてVMwareでは、2021年3月末にモダナイズのためのフレームワークとして「Retire(引退)」「Retain(保持)」「Rehost(ホスト移行)」「Replatform(リプラットフォーム)」「Refactor(新規アプリケーションの構築とリファクター)」という5Rのコンセプトも発表している。企業にある様々なシステムを棚卸しし、これら“どのR”によってモダナイゼーションするかについては、「Application Transformer for VMware Tanzu」のポートフォリオ分析機能を使い、質問に答えるだけでお勧めの方法を提案する機能も用意しているという。
「コアコンピタンスのためのアプリケーションでなければ、それは引退させてSaaSに移行する。あるいは、リフト&シフトで『VMware Cloud on AWS』などでホスト移行する場合もあるでしょう。アプリケーションをコンテナ化してKubernetesで実行できるようにするリプラットフォーム、リファクターで新規に書き換えてしまうものもあるかもしれません。モダナイズのためにどれを採用すべきかをVMwareではアプリケーションのニーズに合わせて提案します」(渡辺氏)
前述のApplication Transformer for VMware Tanzuでは、リプラットフォームを推進するためにvSphereによる仮想マシンで稼働するアプリケーションをコンテナに変換する機能も提供している。このように煩雑な作業をなるべく自動化することで、スムーズにアプリケーションのモダナイズを実現できるようにしているのだ。
そして一連のアプリケーションモダナイズのためのサポートは、Tanzu Labsでトータルに提供している。とはいえ、すべての顧客の要求にTanzu Labsが応えられるわけではない。足りない部分はパートナー企業と協業する形でカバーする。パートナー各社にはそれぞれ強みがあり、それを生かす形で協業しながら対応することとなる。
渡辺氏は、どのような要素を組み合わせて、どのような方法でモダナイズをするかにかかわらず、重要なことは「アプリケーションとインフラ両方のモダナイズを実現していくこと」だと改めて強調するのだった。