全社的な事業改革の一端として、いち早くGoogle Appsを採用した東急ハンズ。システムを担うIT企画部の提案によるものというが、クラウドなどの新技術の導入に消極的な企業が少なくない中で、挑戦的な取り組みが実現したのはなぜか。東急ハンズのIT部門を率いる長谷川秀樹氏に、同部門が担うミッションと活動を支える組織環境、そして新しい取り組みに対する考え方などを伺った。
全社的業務改革を機に提案する立場へ
―東急ハンズでは、2008年にGoogle Appsを導入されたそうですね。クラウド・コンピューティングが話題になりつつも、まだまだ実際に利用まで踏み切った企業はあまり多くありません。御社は、どのように新技術の導入を決定されたのでしょうか。牽引役となった部門の通常の業務とともにご紹介ください。

Google Appsの導入を進めたIT企画部門は、いわゆる“情シス部門” と同じような役割を担っています。日常的には、全社の財務会計、経理、営業などあらゆる部門のシステムを構築、管理を行なっていますが、2007年から3 年間かけてすべての事業を再構築しようというプロジェクトが稼働しており、それに伴うシステム再構築の責任者としても参加しています。
ですから、私が入社した2008年当時は「システムを再構築する前に、まずは業務を見直すところからはじめませんか」と堂々といえる立場ではありました。もともと私自身は、ITのプロとして採用されたのですが、業務部門から提出されるシステム企画案を見ても、何を作ってよいかわからない。そこで、各業務部門にヒアリングを行ない、それをもとに全社的な業務システムの改革案を提出しました。それが業務改革に着手していた時期だったこともあってすんなり通り、IT企画部門がオーダーを受けて作る立場から、提案する立場へと大きく変わったわけです。
その後、各部門長が集まって全体像を議論する場に参加させてもらい、率直な意見交換の機会を得ることができました。通常は、IT部門代表といえども、なかなか現場の各部門長に向かって「ここの業務はこう変えるべきだ」などとは言いにくいもの。タイミング的に“ラッキーだった”と言えるでしょう。そんな恵まれた環境下で、クラウドシステムの利用も議論の俎上に上がってきたわけです。
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伊藤真美(イトウ マミ)
フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ビジネスやIT系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。
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