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データを持ち歩いて分析する時代、情報システム部門はデータ分析業務とどう関わるべきか?

■第9回

 企業の一部にはデータ分析チームや部門があるが、中小企業ではそういうわけにはいかない。データ分析は、情報システム部門が請け負っている企業が大企業を含めて少なくない。そういったときに、過去のデータ分析では、言われたとおりにやるのが精一杯で、少し違うことを依頼されると、DBから生データを拾ってきて、他のデータと突き合わせて…といった危なっかしい分析をしていた企業も実在する。今回は、これからの時代の情報システム部門のデータ分析の関わり方について考えていく。

データ分析に膨大なコストがかかった時代から、ビッグデータの時代へ

 その昔、とは言ってもほんの10年、15年前には、中小企業がデータ分析をする、なんてことは考えられなかった。また、大企業においても、そのシステムを導入するために膨大なコストがかかっていた。

 まず、各システムからデータを取り出すためのEAI(Enterprise Application Integration)が必要であり、分析するためのパワフルかつ高価なサーバーが必要だった。今でもEAIは企業で活躍しているが、「データ分析」という目的だけを考えると、必ずしも必要ではなくなった。

 「ビッグデータ」というと大企業にしか存在しないイメージを持たれているようだが、それも正しくはない。いまどきの中小企業では、パソコンを使っていないところは存在しないし、社内サーバーの2つや3つは持っている。経営情報もデータ化されているし、販売管理、在庫管理といったものもデータで保存されている。それらを分析することで、より経営に有利な情報を引き出すことが可能になるし、マーケティング部門を持たない企業でも、マーケティング活動に有効な分析ができるようになる。

NTTドコモのデータ分析事例

 IT企業でも、データ分析に苦労している企業は多い。大手通信事業のNTTドコモは、2013年6月頃、スゴ得コンテンツの初期データから、次の方針を決定するために分析を開始していたが、データ量の大きさに苦しんでいた。

 ユーザーログは、表計算ソフトがフリーズするほど膨大で、必要な情報を得るためにかなりの時間を要してしまう。フリーズしているために、計算式がすべて正しいとは言い切れず、やり直しも多かった。

 その後も、表計算ソフトとDBソフトを組み合わせるなど工夫を重ねたが、一つのことが分かるのに数日を要することもあり、またWebサイトの改善や利用率向上を図るためには、より詳細なユーザー動向の把握と分析が必要だという結論に至った。

クラウドで使えるYellowfin

 NTTドコモが採用したクラウド型BIのYellowfin(イエローフィン)は、オーストラリアのメルボルンに本社を置くグローバル企業だ。とはいえ、日本法人は現在14名(2015年6月現在)の小規模なオフィスで運営している。

Yellowfin画面1(サンプル画像)

 Yellowfinの特徴は、iPhoneやiPadといったモバイル端末からアクセスしやすいのが特徴だ。そして、クラウドの有効性を活かし、その場その場でデータの並び替えや抽出が容易にできる。筆者も目の前でデモをしてもらったが、とても他システムから引っ張ってきているとは思えない速度で、瞬時に見たい情報を得られる。

追加開発のたびに分析にコストをかけない

 先出のNTTドコモでもそうだが、大抵の企業はシステム開発が一度で済むわけではない。しかし、すべての開発が終わるまでデータを分析できない、というのでは困る。かといって、追加開発の度に、データ分析にも追加コストがかかるようではコスト的に厳しいのが実情だ。その点、Yellowfinのようにクラウド型BIであれば、追加コストなしで利用できる。

全データを手軽に分析する

 iPadなどのモバイル端末からアクセスできるBIというと、サンプリング程度しかできないイメージを持っている人もいるだろう。しかし、Yellowfinの場合は、全データを対象にして必要な情報を迅速に引き出せるところがポイントだ。サンプリングだけでは得られない情報を取り出し、瞬時に次の行動に移せるところが大きなポイントなのだ。

Yellowfin画面2(サンプル画像)

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この記事の著者

大木豊成(オオキトヨシゲ)

イシン株式会社 代表取締役シンガポール大学(現NUS)卒業
米国PMI認定Project Management Professional取得ソフトバンク株式会社で、Yahoo!BB事業立ち上げ、コンタクトセンター立ち上げ、おとくラインサービス立ち上げなど、事業・会社とサービスの立ち上げを担当。現在は「人と会社...

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